地域のモノなんでも売ります【合同会社SOZO代表・吉岡隆幸さん】

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吉岡さんの思い:これからのこと

 

——吉岡さんは、大学在学時より農業サークル、バリアフリーツアー、地域活性と様々なことをされてきていますが、どのような思いを持たれてこのような道を辿って来られたのでしょうか。

 

 周りの細かいところはその時々のタイミングで変わってきているんですが、気持ちの根っこにある自分がこうしたいという思いは学生時代から変わらないです。

 それは、障がいを持っている方が、農業で、産業をちゃんと作れる環境を作ること。これが私の学生の頃からの思いです。

 CSRや障がい者雇用と言った枠組みに頼るのではなくて、障がいを持った方が農産物を作って、そのことをわざわざ表に出さないでもそれがきちんと認められて、ちゃんとした価格で売れる。

 これが目標で、40歳までに実現したいと思っています。今34歳であと5-6年しかないという焦りは多少あるのですが。

 

——なるほど。現在の地域活性化のお仕事と、障がいを持たれた方が作られる農産物でビジネスをする夢とは、どのようにつながっているのですか。

 

 なぜモノ売りをしようと思ったかというと、物とは野菜・果物とか目に見える物、コトというのは農業体験であったり地域の良さであったりするのですけれど、それを売れる人間でないと産業が作れないんです。

 障がいを持った人がとても良い物を作っても、それを売ることができなかったらビジネスにできない。それはとてもシビアでシンプルです。

 そのために、自分が売るスキルを身に着けなければいけない、モノを売れる人間になりたい、というところでつながっています。

 

 ——作るところつまり生産は大学時代から経験されているから、今は売ることを勉強されているということですね。

 

 そうです。この後はもう一回作る方に戻りたいと思っています。

 

 ——モノを売るスキルを身につける方法は、地域活性化のお仕事以外にもあったと思うのですが、その中でなぜ地域に入る現在のお仕事を選ばれたのでしょうか。

 

 当時はここまで考えていたか覚えていないのですが、感覚的な点も含めて今振り返って思うのは、東京はモノを売るのが簡単だろうなということです。

 これは東京でモノを売るのが簡単ということではなく、東京で売れているモノはきちんと商品化されたものなので、それがちゃんと売れているんだなということです。

 一方で、地域にはモノは豊富にあるけれど売れる状態になっていない。

 例えば、ある地域の人々が当たり前に食べているお漬物があるとします。その地域では必ず食べているのだけれど、値段はついていないし地域外に流通もしていない。こういったモノが多いのが「地域」です。

 今「地方創生」という言葉があるように、といってもただの言葉ではなく本当の意味で地域を活性化する必要がある中で、そのような今までは価格のつかなかった(地域が価格をつけていなかった)モノを売ることで、地域に新しい資金が導入されるのではないか、と思っています。

 今までは無かった新しい価値、新しい資金を調達するためにモノを売るということに、私はとてもヤル気を感じますし、自身が目指している農業も地域の中でしか実現できないものだと思っていますので、今の仕事を選んだのだと思います。

 

 

これから同じ職業を目指す方へ:地域活性化の仕事の始め方

 

——現在のお仕事の楽しい部分と難しい部分をお聞きしたいです。

 

 こういう状態で色んな方々と接点を持たせてもらいながら仕事ができていることは純粋に楽しいです。

 ただ、なんでこんな難しい仕事を選んだんだろうと思う時もあります。もっと楽に稼げる方法は他にもあっただろうにと。

 

——具体的には何が難しいのでしょう。

 

 私の仕事は大抵「今これに困っています、どうすればいいですか?」という先方の相談から始まるのですが、大抵それらは既に手垢がついていて、つまり、今まで〇〇さんに頼んでたけどダメだった、自分たちでどうにかしようとしたけどうまく行かなかった、という状態なので、私の仕事はまずそこをキレイにするところから始まります。

 言葉を悪く言うと、何かに取り掛かろうと思った地点がゼロ地点ではなくて、すでにマイナス地点にいることが多いのです。ですから、まずそのマイナスを無くして何とかゼロの状態にしてから、本当にやりたいことが始められる。

 それには非常に労力と時間がかかります。

 

 ——最後にお聞きしたいのですが、これから吉岡さんと同じような仕事を目指す人への参考としてお聞きしたい事が2点あります。

 まず一つは、どうやって地域に入って行ったのか。

 二つめは、地域に入った後どうやって仕事を見つければ良いのかということです。

 

 一点目について、私自身が地域に入ったとき、まずは地域の人と仲良くしなければいけないし、最初から仲良くなりたいと思っていました。

 だから、一番にとった行動は地域の農家の若手の集まりに参加することでした。これによって一気に仲良くなりました。「お前おもしろいじゃん!」「わざわざ東京から来たのか!?」と興味を持ってもらうことで、少しずつ地域に入って行きました。

 地域の大事な活動であるお祭りや集まり等にも積極的に出ましたね。「郷に入っては郷に従え」ということわざがありますが、まさにその通りだと実感しました。

 

 二つ目の、仕事の始め方について、これはとても明確で、困っている人に会って課題を見つけることからだと思います。

 農家の方達のために何かやりたいのだったら、知り合いの農家さんのところに行って何か困っていることがあるかを聞く。それでそれが自分に解決できそうだったら自分がやればいいし、自分にできないのだったら誰かできそうな人に相談すれば良いと思います。

 

 ——ただ個人の場合、実績がないと課題を見つけてもお金が回る仕事にするのに苦労すると思います。この点についてはどうすれば良いのでしょうか。

 

 おっしゃるように、「実績がないと課題を見つけてもお金が回りません」ので、その実績はとにかく努力して身に着けていくしか方法がないと思います。

 ただし、それを誰とつくっていくのかという点が大事だと思います。

 私は最初、先輩にたくさんお世話になりました。今は私自身が仕事を持ってきて、仲間たちに業務を依頼しています。予算を渡してその業務をやってもらって、それができれば彼らの実績になるじゃないですか。雇用ではなく、業務委託という形式です。

 私は仕事に上司や部下はいませんが、同じ志を持つパートナーはたくさんいます。そして、いつもそういったパートナーの方々にあらゆる面で助けてもらっています。

 これから始める人はそういうパートナーを探すということを、どんどんやっていった方がいいと思いますね。農業系や地域系の交流会やイベントに飛び込むのも一つの方法です。

 勇気を出して行動できる人はとても伸びていくと思います。

 


 

 インタビュー中とても生き生きと話されて、心からお仕事を楽しまれている様子が印象的でした。

 地域活性化については様々な関わり方があると思いますが、今回は「地域のモノを地域の人々と共に設計し販売する」ことで地方の経済を豊かにするお仕事の紹介でした。吉岡さん、ありがとうございました!